用語説明
■重合体■(ポリマー)
重合体(じゅうごうたい、ポリマー)とは、複数の単量体が重合する(鎖状や網状になる)ことによってできた
化合物のこと。
このため、一般的には高分子の有機化合物である。
現在では、高分子と同義で用いられることが多くなっている。
2種類以上の単量体からなる重合体のことを特に共重合体と言う。
Polymer の poly- は接頭語で『沢山』を意味する。
身近なものとしては、繊維に用いられるナイロン、ポリ袋のポリエチレンなどがある。
また、生体内のタンパク質は、アミノ酸の重合体である。
2分子以上が重合したものが重合体と呼ばれるが、その中でも特に
1分子: モノマー(単量体)
2分子: ダイマー(2量体)
3分子: トライマー
4分子: テトラマー
などと呼ぶ。
重合体と言うと分子量の大きな高分子を指すことが多いため、 2分子以上で十数分子程度までのものは、
それと区別するためにオリゴマー (oligomer) と 呼ばれることもある。
高分子(高分子化合物)とは、多数の原子が共有結合してできる分子である。
俗に巨大分子とも呼ばれる。
一般的には原子の数が千個程度以上、あるいは分子量が数千以上であれば典型的な高分子とみなしてよい。
多数の原子を共有結合で連結できる能力をもった元素は、炭素やケイ素、酸素などに限られるので、
ほとんどの高分子は炭素またはケイ素の鎖が骨格になっている。
高分子は、低分子とは異なる特徴的な性質をもち、特に固体や溶液の力学的、熱力学的特性は
低分子のそれとは大きく異なる。高分子は重合体(ポリマー)と同義である。
■高分子の分類■
有機高分子 (炭素を骨格とする) 天然高分子(生体高分子) - タンパク質 核酸 脂質
多糖類(セルロース,デンプンなど)
天然ゴム 合成高分子 - 合成樹脂(プラスチック)(ポリ塩化ビニル,ポリエチレン,フェノール樹脂など)
合成繊維(ナイロン,ビニロン,ポリエステル,ポリエチレンテレフタレートなど)
合成ゴム 無機高分子 (ケイ素などを骨格とする)天然高分子 - 二酸化ケイ素(水晶,石英)
雲母
長石
石綿
合成高分子 - シリコン樹脂(シリコンゴム シリコンオイル)
ガラス
合成ルビー
■高分子の構造■
高分子は、単量体が重合することによって作られる。
この単量体が重合したものを重合体(ポリマー)と呼ぶ。
1つのモノマーから重合された高分子を単独重合体といい、2種類以上の異なったモノマーから重合(共重合)
された高分子を共重合体という。
ビニル重合では、頭-尾結合と頭-頭結合の2通りの結合様式が、置換基の立体障害や電子的特性に応じて
(立体規則性という)生じる。
ジエン系モノマーの重合では、1,2-構造、シス1,4-構造、トランス1,4-構造といった異性体構造が生じる。
開環重合では、開裂が起こる場所によって、頭-尾結合と頭-頭結合の起こる割合も変わる。
共重合体には、ランダム共重合体(―ABBABBBAAABA―)、交互共重合体(―ABABABABABAB―)、
ブロック共重合体(―AAAAAABBBBBB―)、グラフト共重合体(枝分かれ構造)の4種類の構造がある。
多数の枝からなる樹木状(多分岐高分子)のデンドリマーポリマー、ハイパーブランチポリマー、ロタキサン、
高分子カテナン、水素結合、静電気力、配位結合のような弱い結合力で結びつけた自己集積型高分子、
などの新構造高分子の合成も近年注目されている。
■高分子の大きさ■
合成高分子の分子量は多分散を示す。
つまり合成高分子は、分子量の異なる化合物からなり、その分子量は平均分子量で表される。
分散性は、分子量分布で表される。生体高分子、天然高分子は、単一の分子量からなる単分散を示す。
■有機化合物■(ゆうきかごうぶつ)
炭素原子に水素などの他の原子が結合することで形成される化合物であり、生物を構成する主要な要素。
有機物(ゆうきぶつ)とも言う。
炭素を含む化合物はほとんどすべてが有機物だが、二酸化炭素、一酸化炭素、炭酸カルシウム、
ダイヤモンドなどは含まれない。
種類鎖式炭化水素
アルカン - メタン系炭化水素
アルケン - エチレン系炭化水素
アルキン - アセチレン系炭化水素
環式炭化水素シクロアルカン
芳香族 - ベンゼン環をもつ
芳香族多環化合物
縮合環化合物
ヘテロ環状化合物 アルコール エーテル アルデヒド ケトン カルボン酸 エステル 油脂 糖類(炭水化物)
アミノ酸 高分子
天然高分子(生体高分子) - タンパク質、核酸、脂質、セルロース、デンプン、天然ゴム など
合成高分子 - 樹脂、合成繊維、合成ゴム など
■二酸化ケイ素■(シリカ、Silica、SiO2)
ケイ素の酸化物で、地球を形成する物質の一つとして重要。
圧力、温度の条件により、多様な結晶相(結晶多形)が存在する。
二酸化ケイ素の結晶多形の中で代表的なものとして、石英(水晶、Quartz)、スティショバイト(Stishovite)、
クリストバライト(Cristobalite)、コーサイト(coesite)などがある。
■石英■(せきえい)
二酸化ケイ素の結晶でできた鉱物である。外見上きれいな結晶をなす石英を水晶と呼ぶことがある。
また石英を成分とする砂は珪砂と呼ばれる。石英は主要な造岩鉱物であり,
花崗岩などの火山岩に多く含まれる。
工業的に利用される石英は、通常、天然に産出される珪砂(石英の砂)などを、
溶融して再結晶させたものである。
水晶発振器 - 水晶板に交流電圧をかけることにより共振を起こし、時間を計測する装置
光ファイバー - 光を通すために、石英ガラスが利用される。
石英ガラス - 化学器具・光学機器に用いられる石英を材料としたガラス(耐熱性に優れている)
他にも、水晶は装飾品(宝石)として用いられたり、占いの道具としても利用されてきた。
マヤ文明およびその地域の原住部族においては、
透明水晶を「ザストゥン」と呼び、まじない石として大切に扱う。
■石英ガラス■(せきえい - )
石英(SiO2) から作成されるガラスで、SiO2 純度が高いものをいう。
溶融石英、溶融シリカ、シリカガラスなどとも呼ばれる。耐食性、耐熱性にすぐれ、非常に透明なことから、
理化学用途から光ファイバーのコアまで幅広く用いられる。
古典的な製造法は水晶の粉末を2000℃以上で溶融、冷却しガラス化する方法である。
しかし、この方法で作られた石英ガラスは不純物が多い。
純度の高い石英ガラスを必要とする場合は、四塩化珪素 (SiCl4) の気体から化学気相蒸着 (CVD)
によって作成される。
例えば光ファイバーを製造する場合には、屈折率が低くなるように調整した石英ガラスのチューブを用意し、
その内側に前述の方法でSiO2 を析出させて作成する。
高温を必要としない製造プロセスとしては、ゾル-ゲル法がある。ゾル-ゲル法は、金属アルコキシドの溶液から
ゾル状態、ゲル状態を経て固体のガラスやセラミックスを得る方法である。ゾル-ゲル法による石英ガラスの製
造では、テトラエトキシシラン(Si (OC2H5) 4) をエタノール水溶液中で加水分解して石英ガラスの多孔質湿潤ゲ
ルとし、これを乾燥・焼結して透明な固体の石英ガラスを得る。焼結温度は1200℃以下で、これは他の方法と
較べてかなり低い温度である。
石英ガラスは他のガラス同様に熱伝導率が小さいが、熱膨張率も非常に小さい(約10-7/K)ため、急激な温度
変化による熱衝撃の影響をあまり受けない。そのため、赤熱した石英ガラスを水中に放り込んでも、ガラスコッ
プのように割れてしまうことはない。
■鉛筆硬度■
日本工業規格では、塗料の試験方法の一つを次のように規定している。
規格番号 JIS K 5600-5-4:1999
標題 塗料一般試験方法 ― 第5部:塗膜の機械的性質 ― 第4節:引っかき硬度(鉛筆法)
英訳標題 Testing methods for paints -- Part 5: Mechanical property of film -- Section 4: Scratch hardness (Pencil method)
規格概要 既知の硬さの鉛筆を塗膜に押しつけて塗膜硬度を測定する方法を規定。塗料類の単一塗膜,
又は多層塗膜系の上層膜に対して適用。
制定年月日 1999-04-20
引用JIS規格 K5600-1-2 , K5600-1-3 , K5600-1-4 , K5600-1-6 , K5600-1-7
引用国際規格 ISO 1512:1991 , ISO 1513:1992 , ISO 1514:1993 , ISO 2808:1997 , ISO 3270:1984
原案作成団体 社団法人 日本塗料工業会
対応国際規格 ISO/DIS 15184:1996 (IDT)